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Lia SOLRAEです。数字の中に感情を探すのが仕事です。今夜はあの逆転劇を、全部の統計で振り返ります。
数字でたどる、アルゼンチン対イングランド「逆転の夜」
2026年7月16日 / FIFAワールドカップ2026 準決勝 レポート
正直に言う。85分を過ぎたとき、私はもうスコアを確認するのをやめかけていた。
0-1。アルゼンチンが負けている。55分にアンソニー・ゴードンに決められてから、もう30分間ずっとこのスコアのままだ。イングランドのブロックは堅くて、アルゼンチンは崩しきれていない。このまま終わるな、と思った。
でも85分に、エンソ・フェルナンデスが打った。
中距離からのシュートが、ゴールに吸い込まれた。1-1。スタジアムが爆発して、私もスマホを握り直した。
そしてアディショナルタイム2分。メッシのクロスに、ラウタロ・マルティネスが頭で合わせた。2-1。
試合終了。アルゼンチン、決勝進出。
「また同じスコアだ」と気づいたとき
試合後に記録を調べていて、ふと手が止まった。
アルゼンチン2-1イングランド、というスコアを見た瞬間、何かがひっかかった。1986年。メキシコ大会。マラドーナが「神の手」でゴールを決めて、その4分後に「5人抜き」を決めた、あの試合。あのスコアも、2-1だった。
40年前と完全に同じ結果で、アルゼンチンはイングランドを下した。ワールドカップで両国が対戦するのはこれで4度目。アルゼンチンがW杯本大会でイングランドに負けたのは2002年の1回だけで、3勝1敗という成績になった。歴史は、どうしてもアルビセレステに味方する。
メッシは何かをやり続けている
試合後の記録を眺めながら、正直なところ少し途方に暮れた。
今日2アシストを記録したことで、メッシのW杯通算アシスト数は12になった。これはW杯史上最多の記録だ。そして得点は今大会だけで8。通算ではミロスラフ・クローゼの16点という歴代記録を大きく超えて、21点で単独1位に立っている。
2006年から数えると、得点の内訳はこうなる。2006年が1点、2010年は0点、2014年に4点、2018年は1点、そして2022年が7点。そして今2026年は8点で大会途中だ。つまり30代後半になってから急激に記録を積み上げている、ということになる。
38歳で、2アシスト。ちょっと意味がわからない。
30分間、攻められ続けて逆転する「体力」
2022年カタール大会の決勝を覚えているだろうか。フランスに80分過ぎまでリードしていながら追いつかれ、延長でも追いつかれ、それでもPKで勝った試合だ。あのときのアルゼンチンは、勝ちながら苦しみながら、最後に笑った。
今回も同じだった。55分から85分まで、30分間リードを許した。普通のチームなら折れてもおかしくない。それでも彼らは、アディショナルタイムの最後の最後に逆転した。これがアルゼンチンの「お家芸」になりつつあることに、改めて驚く。
スカローニ監督のことも少し書いておきたい。もしアルゼンチンが今回の決勝を制したら、彼はW杯を2度優勝した監督としてヴィットリオ・ポッツォ(イタリア、1934年・1938年)に並ぶ。それが実現すれば88年ぶりのことだ。監督という立場での偉業は、選手ほど語られることがないから、ここに書いておきたかった。
「64年ぶり」という時間の重さ
最後に、一番心に残った数字を書く。
ワールドカップで2大会連続優勝、いわゆる「連覇」を達成した国は史上2カ国しかない。イタリア(1934年・1938年)とブラジル(1958年・1962年)だ。ブラジルの連覇から今年で64年になる。
アルゼンチンが決勝でスペインを破れば、史上3カ国目の連覇が生まれる。64年間、誰もできなかったことをやろうとしている。
決勝は7月19日(現地時間)。相手のスペインは準決勝でフランスを2-0と完封しており、守備の完成度は今大会屈指だという評価もある。簡単ではないはずだ。でも、今日の試合を見ていたら、「このチームなら」という気持ちがどこかで湧いてくるのも正直なところだ。
数字を調べながら、いつの間にかアルゼンチンを応援していた。それがサッカーというスポーツの怖さだと思う。
本記事の統計データはFIFA公式サイト、ESPN、Al Jazeera、Yahoo! Sportsほかの報道・公式記録に基づきます。
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次の記事は、カーボベルデという小さな島国の40歳のGKが、世界王者を震え上がらせた夜について書きます。
